平安時代に始まり、近年まで全国各地で行われていた性の風習「お籠もり」って、ご存じですか。
別名「雑魚寝」とも言いますが、不特定多数の老若男女が、お寺や神社のお籠もり堂に集まり、共に一夜を明かすという。あれです。
吉見郷土史研究会編・吉見町立図書館発行の『吉見の昔ばなし』に、鴻巣市・勝願寺での貴重な「お籠もり」体験記が寄稿されていたので、抜粋、引用させていただくと、「私達より少し遅れて到着した格好いい二人の婦人を誘って今夜の席は決まり」どうやら寄稿者は友人と参加し、女性二人組を標的にしたようです。
「信仰は喜びの『法悦』という難しい理屈は判らないが、解き放たれた馬の大草原に踊りだす喜びを見る如く緑の輝くこの限りなく拡がる草原に、お互い呼び交ういななき、自由に駆ける蹄の音」淫行を信仰の喜びにしているところはすごいけれど、格調高い名文ですね。
「参籠は自由な語り合いと交情の一夜であり、明け方近くまで、あっちこっちに歓声が上がり、楽しく怪しい夜が明けたのは六時すぎだった」
いかがでしょう、いかにも楽しげな様子がビンビン伝わってきませんか。おそらく半世紀前の体験談だと思われますが、もし、今でもこんな風習が残っていたら、ぜひ参加してみたいですよね。