淫祠邪教とされ、これまで幾度となく弾圧されてきた宗教がある。南北朝時代に後醍醐天皇の護持僧である文観が大成し、広めたといわれる密教「真言立川流」である。
淫祠邪教、それはそうかもしれない。「男女がセックスで絶頂に達しているときこそ、即身成仏が出来る」という哲学が、教理の柱になっているのだから、いつの時代も喜んで入信し、信心に励む連中が出てきて不思議はない。
この真言立川流を生む因になったのが、『般若波羅蜜多理趣品(理趣経)』というお経に説かれている教えである。この中に「十七清浄句」という句偈があるが、これらの解釈が難しい。たた表面の文字だけで解釈しようとすると、曲解されてしまうことになりかねないのだ。
たとえば、「十七清浄句」の最初の句が「妙適 淨句菩薩位」。つまり、男女がセックスをしているときの妙なる恍惚感が、清浄なる菩薩の境地であるというものだったり、ほかにも「見 淨句菩薩位」、欲心(助平心)で異性を見ることも、清浄なる菩薩の境地である、なんて書いてあるのだから。
あまりにも理解困難な経典なので、唐から持ち帰った空海が最澄にも貸さなかったというくらいなので、素人は変に理解しようとしない方が賢明かも。もしかしたら、世間を騒がせることが好きな議員さんたちは、中途半端に『理趣経』読んじゃったのでは?
