江戸三大奇書のひとつ『阿奈遠佳志(あなおかし)』(前後編2巻・会津 木がくれのおきな戯著)の中に、男茎形(おはしがた)のルーツをつづった章がある。もちろん男茎形というのは現代でいうディルドのことなのだが、なかなか面白いので、原文の中から一部を抜粋、意訳してご紹介してみよう。
「男根の形を真似て「男茎形(おはしがた)」を造るというのは、神代の昔から行われていた。当時は石や木で造られ、神事にのみ使用されていた。
奈良時代に(朝鮮半島の)高麗や百済などから渡来してきた職人たちが、(中国の)呉の国から手に入れた水牛の角で、姿、形の誠に素晴らしい男茎形を造り始めた。
お湯に浸した綿を、その角製男茎形の胴体に施された空洞に入れると、その熱と水分で温かくなり、やわらかく膨らんで、男根の実物とそっくりになる。
当時の宮中の女官たちが、これは大変珍しいものだと、いじくり回して眺めているうちに、ふと、男性がする自慰を、女性でもやってみようと思い、試したのが始まり。いつしか男茎形は、神事に使用されることもなくなり、女性の自慰用にのみ、用いられるようになった」
ここまで詳しく書かれていたら、当時、宮中の女官たちが好んで男茎形を使っていたという話は、本当のような気が…。


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