詩集「おかあさん」でおなじみの昭和の大詩人サトウハチローさんといえば、その叙情的な作風に似合わぬ私生活での奇行が有名だったが、こんな逸話も残っている。
詩人仲間の千家元麿さんと行った鶴見川辺での巨根比べだ。
「二人は川の場に腰をおろし休息したが、その時、元麿はズボンからおもむろにナマの一物を引っぱりだし、これへむしった青草を一つかみのせて、一物でピンとひと弾き、青草は空中に舞って川の流れに散っていった。
これを見ていたハチロー、ズボンの釦を四っつはずして、やっと一物をひきだして、手もとにあった平たい小石をセガレの頭にのせるや、鉛筆の尻で棹をチョンと一つき。小石は弾んでチンキラキンと川面を三段跳びして沈んでいった。
ショボンとしていた元麿に、サトウ・ハチローはニッコリ笑って言ったという。
『千家モトマラ、おそれ入ったか』」(峰岸義一『粋人酔筆』収録)
出来過ぎた話だが、さもありなんと思わせるハチローさんがすごい。ズボンの前のボタンを4つ外して、やっとイチモツを引っ張り出せたというくだりには、どれだけデカチンだったんだと驚くとともに、つい笑ってしまった。それにしても、大の大人が川辺に2人並んで巨根比べをしたところがミソ。童心を忘れちゃ、素晴らしい誌は書けないってことか。
