「池袋の女」という怖い話をご存じですか?
といっても、池袋の繁華街で美人の客引きに騙されて高額料金を請求されたうえ、強そうなお兄さんが出てきて怖かった…なんて話ではありません。
江戸時代末期の頃、池袋出身の女を雇ったら、深夜、その家の屋根の上に小石がバラバラと降って音がうるさいとか、お皿が部屋の中を飛び回ったあげく割れたとか、行灯(あんどん)が空中浮揚したなどと、今でいうポルターガイスト的怪奇現象が起きると思われていたのです。
そこで、商家や武家が新しく下女を雇い入れるとき、その出身地をすごく気にしたんだとか…。
怪談話の宝庫といわれる随筆『耳袋』、地誌の『遊歴雑記』、雑書『古今雑談思出草子』などにも類似した話が載っているので、当時、この怪異譚がいかに広く流布していたか、わかろうというもの。
ただし、この怪異現象にも、オチとネタがちゃんとある。原因は、スケベな商家の主や武家の主が、ついに下女に手をだしちゃったこと。そのことを知った村の若い衆たちが「おらの女になにするだ」ってんで、深夜に小石を投げに行ったり、こっそり忍び込んで皿を割ったというのが真相なんだそう。
そこの社長、女性社員に手を出したら、ビルの窓ガラスに小石が飛んでくるかもしれません!