昔は公衆便所の壁などでよくエッチな落書きを見かけたものですが、清掃係の方々の努力のたまものか、最近ではほとんど見なくなりました。
力作の部としては、両脚を大きく広げて股間をあらわにした女体や、元気に青筋を浮かせているオチン〇ン。駄作の部としては、Vを二つ並べてオッパイ、小さなXがヘソ、Yで股間を表現した稚拙な女体なんていうのも、よく見かけたものです。
ところが、高名な歴史学者の樋口清之氏によると、「便所の性画は悪霊を追い払うため」とのこと。
と言われても、あんな落書きをする人が、そんな高尚な想いを抱いているわけがないよな…と疑問を持ちながら読み進める。
《怪我をしやすい危険な場所に、その防止を願って、性の象徴を描くという習慣が日本にはあった。たとえば、日本人は便所で風邪を引くと思っていた。そこで、風邪を引かないように、便所に性画を描いたのである。今ではいたずらや落書きだが、昔は、病気の悪霊を防ぐために、真面目な気持ちで描いていたのである》 (『性と日本人』講談社刊)
ということは、元は風邪を引かないためのおまじないとして描かれていた性画を、いつしか、単なるスケベ男が真似て描くようになったのか…。
でも、ずっとお尻丸出しのまま描いていたら、反対に風邪を引いちゃうよね。