私は、二か月間インド旅行をしたことがあります。

今から〇十年前、当時の彼がアジアを旅行していたので、会いにいく!と安易に言ったためです。先に旅を始めていた彼と、携帯もない時代にタイで待ち合わせ。凄いぞ私!

タイからインドへ飛び、デリーの国際空港に到着してすぐに帰りたいモードになりましたが、若い頃の勢いがなければ経験出来なかったと思うので、今となっては「いい思い出」に変換されるようになりました。

でも、帰国したときは「二度と行くか!」と鼻息を荒くしながら、数々のありえないアクシデントや体験談を友人に言いまくっていたのです。彼はまだ旅を続けていたのに、それを超える「インドから脱出したい病」にかかっていました。

最近、久しぶりに友人と昔話をしていたら、私がいかにインドをディスっていたかを思い出させてくれました。

ですが、彼女のインドのイメージは悪くなかったのです。なぜなら、私が「タージマハルの神秘さ」を、ありとあらゆる形容詞を使って褒めたたえていたらしいのです。

確かにそうでした。

タージマハルは夢の中に存在するような、地球上に白い世界があったのかと思わせるような、そんな建物だったのです。後から歴史を聞いて愛する妻のお墓だと知るのですが、まるで時間が止まったかのように記憶に刻み込まれた空間でした。

もうインドに行く体力も気力もない今、二度と見ることのない世界遺産。貴重です。

その静粛な気持ちは、その後靴を盗まれて一瞬で消え去ったのですけれど。

そんなインドの二か月を綴った日記を友人たちが褒めてくれたことが、私を書く仕事へ向かわせた大きなきっかけです。不思議です。

でも、やっぱりインドはもう行きません!

投稿者

中原 楓 官能小説家です。web・新聞をメインに活動しています。 読者の脳内をエロスで満たし「幸福感」と「安心感」を届けたいと思っています。心の中に封印しているあなたの「欲情」を搔き乱すことができれば嬉しいです。

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