10世紀にインド洋を航海していた船乗りたちが蒐集したビックリ話をまとめた奇書『インド洋の驚異譚』(東洋文庫)に、当時、特定のヒンズー寺院では、娼婦を囲って売春行為をさせていたことが記録されている。
以前書いたように、神の恩寵を授けるために巫女が寄進者と性交渉を行うという風習は、メソポタミアや古代日本にもあったが、この書物には、なぜ神聖な場所で売春行為が行われるようになったかという由来が書かれているところがミソ。
インドのある王様の元后が、タルバッタンという町の近くを象に乗って通りかかったとき、ココヤシの樹下でオナニーにふけっている若者を発見した。
不思議に思って、「お前はなんでそんなことをしているんだ、売春宿に行かないのか?」と聞いたところ、若者は、「私は貧乏な他国の者で、娼婦を買う金がないのです」と答えた。
それを不憫に思った元后は涙を流し、早速、立派な寺院を建てて60人の若い娼婦を住まわせ、貧民と旅行者からは料金を取らないという画期的なシステムで神殿売春を開始。そして得た利益は、寺院の管理、運営に充てた。
当時、その寺院での売春・買春行為は神への功徳を積むための、ひとつの修行の道だと考えられていたという。
そんな修行なら、みなさんしたいのでは?…ですよね?

