誰しも初めて目にしたときはドッキリしたであろう、ゴヤの名作『裸のマハ』。悩ましい姿態だけでなく、あの淫らで挑戦的な視線が実に官能的で男心をくすぐるようですね。
もちろん、それまでにもヌードは多く描かれていたけれど、ビーナスなど神話に登場する女神たちばかり。だから、『裸のマハ』は美術史上において、実在した女性の陰毛を初めて描いた絵画だといわれている。
この『裸のマハ』と対をなしているのが、『着衣のマハ』だけど、展示してあるプラド美術館を訪れる観光客のほとんどが、『裸のマハ』目当てなんだとか。
さて、この絵のモデルは誰かという説には2通りあって、1つはゴヤの愛人だったといわれているアルバ公夫人、もう1つは、当時のスペイン宰相で、絵の依頼主でもあったマヌエル・デ・ゴドイの愛人だったペピータという説。
スケベとしても名をはせていたゴドイは、この絵を秘密の部屋に飾って鑑賞していたそうだけど、どうしてオープンにできなかったかというと、当時のスペインは厳格なキリスト教国であり、もしヌードなんて描いたら、画家も持ち主も異端尋問にかけられてしまうから。実際、無罪にはなったけど、のちにゴヤも尋問されている。
そうそう、「マハ」とは特定の人物名ではなく、「派手に着飾ったお洒落な女」というスペイン語なんだけど、裸が一番お洒落って、納得ですよね。
