エッチのあれこれ #78 哀愁漂う「ズロース」の響き

「俺らの時代は、やっぱりズロースだよぇ。パンツならまだしも、ショーツとかスキャンティーなんてなぁ…」

80代後半の知人がしみじみとつぶやいた。このエロ爺さんは、近年の女性用下着の呼び名では全く色気を感じないし、昂奮もしないというのである。

 たしかに「ズロース」という言葉の響きの中には、どこか泥臭さと猥雑さ、そして郷愁が漂っている気がする。とはいえ、若い人にズロースという名称を用いても、萌えることはないだろう。琴線に触れる下着名称は、その人が青春を過ごした時代が、大いに関係しているからだ。

 さて、このズロース。文明開化とともにわが国に入ってきたが、当時の女性たちには、下着を着けるという習慣がなかなか根付かなかった。大正八年には、お茶の水付属女学校が、全生徒にズロースの着用を強制しなければならなかったというくらいだから、いかに昔の女性たちが下着を嫌っていたか、想像できようというもの。

 広まったのは、着物で下着を着けていなかった女性従業員たちが窓から飛び降りるのをためらい、多焼死した1932年の白木屋火災の後のこと。女性の社会進出が始まって、職業婦人たちがやっと下着の必要性に目覚めたからだと言われている。

 今ではノーパンで外出する女性は、露出愛好家ぐらいなのにね。

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